名古屋の中心街、栄。駅から南東に10分ほど歩いた位置に丸八テント商会は本社を構える。
創業してから65年、テント一筋に商売を行うメイドインジャパンのものづくりの企業だ。
愛知県にはトヨタやデンソーなどの自動車産業などの中心に、機械工業や精密機械工業など、ものづくりの街として栄えてきた。
表舞台に立つのが大企業ならば、その陰には必ず中小企業の支えが存在する。いわゆる下請企業だ。
しかし下請は大企業の業績に左右され、不況の影響を最も受けやすい脆弱な存在であることも否めない。
中小企業にとって「脱下請」とは常に抱えている大きな問題なのだ。
通常、中小企業にとって脱下請は非常に難しい。
大手取引先との関係悪化、資金不足、信用力不足などそこには様々な問題が生じるためだ。
しかしその問題を跳ね返し、取引のなかった大手企業から注文が毎週のように飛び込んでくる企業がある。
それが丸八テント商会である。
丸八テント商会には大手企業から頻繁に問い合わせの電話がかかってくる。
しかも取引経験がなく、新規の客としてである。
過去には大手食料品メーカーからビアガーデンに設置するテントを依頼された実績や、
大手自動車メーカーのショールームに置くプラネタリウムを依頼された実績を持つ。
↑ 大手自動車メーカーのショールームのプラネタリウムは弊社施工である
さらに今年、2016年に公開された映画「シン・ゴジラ」に使用されているテントは丸八テントが作成・提供したものである。
↑ 「シン・ゴジラ」で使用されたテント
中小企業が取引のない大手企業から受注することは信用力の問題から非常に困難である。
では、この大手から信頼されるブランドを丸八テントはいかにして作り上げたのであろうか?
では中小企業はどのよう自社のにブランディングを行えば良いのか。
答えから述べると、①人材を確保し、②採算度外視で実績を作り、③ネットを用いて発信すれば良いのである。
この話は実は今年丸八テント商会が発売した本「事業拡大を実現する 中小企業のための『長期インターン』活用戦略」に記されている。
以下概要のみの記載となるが、続きが知りたい人は是非この本を手にとってほしい。
中小企業において、人手不足は常に深刻な問題である。
人件費の問題はさることながら、自社で働くことを希望する人材を確保するのも非常にコストがかかる。
そのため仕事量に対して従業員数は常にカツカツ、既存の事業を回すことで手一杯で新しく何かに挑戦する余裕などないという
実情を抱える中小企業がほとんどなのである。
既存の事業が注目を得やすいものであれば既存の事業を推し進めれば良いのであろうが、
必ずしもそうではない事業が主である企業も数多くあるである。
例えば、機械の部品メーカーなどはなかなか注目を得るような製品を作りにくいのが実情である。
そこでまず取り組む必要があるのが、「人材」の確保である。
そもそも新規事業に取り組むにあたり「人材」がいないと何も始まらない。
丸八テント商会が4年前に目をつけたのが、学生インターンシップ制度であった。
この制度は学生が半年間に渡り、長期で一つの企業でインターンをする制度である。
「学生」というと面倒を見る存在であり、ただのお荷物という印象が強いが、決してそうではない。
確かに知識や社会的常識が欠けている分、手がかかることはあるが、
行動力や情熱の面では社会人をはるかに凌駕する学生が多いのである。
長期インターンシップの学生は通常、NPO法人などを仲介して採用することが多い。
愛知県周辺の団体としては弊社も利用するNPO法人G-netが挙げられる。
丸八テント商会は2012年、初めて一人の女子大学生を受け入れたことに始まり、
2016年まで4年以上、途切れることなく25人の学生インターンを受け入れ続けてきた。
彼らは存分に行動力を発揮し、事業を自主的に行ってきた。
本ミチカラプロジェクトもその一環である。
さらに丸八テント商会の特筆すべき点は、学生をチームとして受け入れたことにある。
それがなぜ重要なのか。そして学生を戦力として事業を回すにはどのようなノウハウが必要なのか。
それは是非上記紹介した本で確認してほしい。
事業を始めるにおいてまず真っ先に頭に浮かぶのは、利益率と利益の額であろう。
その事業は採算が取れるのか、自社にとって増益につながるのか、そのシビアな戦いがそこにはあると言ってよいだろう。
しかしブランディング戦略においてはそれは大きな落とし穴になるのである。
信用力を高めるにはまず「実績」として外部に発信できる内容を作ることが大切である。
そのためには採算は二の次とし、客寄せとなるような事業を積極的に行う勇気が必要である。
客寄せとしてどこまで「実績」を作れるか、それが経営者の手腕の見せ所となるのである。
丸八テント商会が知名度を大きく向上させた事業として、
「西陣帆布・西陣カーボン」と「みんなの森 ぎふメディアコスモス」が挙げられる。
実はこれ、両方ともインターン生が関わり大きく発展させた事業なのである。
この両者の事業をどのように行ったのか、そしてそれが知名度の向上にどのように影響したのか。
是非本の中で確認してほしい。
↑ 天井からぶら下がるこの巨大なオブジェ11個は丸八テントが施工した作品である
最後に非常に重要となるのが上記で築いた実績をいかに周囲に認知させるかである。
その強力な媒体として利用できるのが「ネット」である。
「ネット」と一口にいえど、その手段は多岐にわたることをご存知だろうか。
SNSといえばFacebook、Twitter、Instagramなど。ホームページ。ブログ。
はたまたリスティング広告なども入れれば、周囲の人に自社の事業内容を伝える術は数限りなく存在するのである。
全てをやみくもに活用すれば良いというわけではない。
その業種ごとにそれぞれ活用方法があるのである。
一つの活用例は上記のようなブログである。
しかしブログといっても何をどのように書くかはまちまちである。
本ミチカラプロジェクトではブログの運用も引き受けているので、是非相談していただければと思う。
上記ブランド力向上のための3点を読んで、皆さんはどう思われただろうか?
おそらく「こんなことで本当にブランド力は上がるの?」と思った方が大半なのではないだろうか。
しかし、だからこそあなたの会社が周りと差別化できるチャンスなのである。
社会的な通念として、中小企業は大企業に比べてブランド力が弱いという思い込みがある。
しかし昨今ネットの発達により情報発信が容易になったこと、誰でも簡単に様々な情報にアクセスできるようになったことなどから、
昔と比べて中小企業がその高い技術力や話題性を世間に発信しやすくなっているのである。
その潮流をいち早く理解し、自社への先着に組み込んだ中小企業ほど、今後高いブランド力を得ていくことになるのである。